石油をきれいにする触媒(水素化脱硫触媒)は、石油コンビナートの中心となる石油精製会社の製油所で使われます。製油所は原油から石油化学原料、ガソリン・灯油・軽油などの燃料、その他の化学原料を生産します。水素化脱硫触媒は、主に原油の重い(沸点が高い成分:重油)成分を除いた成分から不純物(硫黄)を取り除くために使われます。
原油は、沸点により分留され沸点の低い成分から最終製品としてガソリン・灯油・軽油となります。これらの製品は日本工業規格(JIS)により仕様が決められていて、その中で不純物(硫黄分)をある濃度以下にすることが規定されています。水素化脱硫触媒は、それぞれの留分から不純物取り除くことにより、環境汚染防止に役立っています。
石油を改質する触媒(接触改質触媒)は石油コンビナートの中心となる石油精製会社の製油所で使われます。製油所は原油からナフサと呼ばれる石油化学原料やガソリン・灯油・軽油などの燃料を生産します。接触改質触媒は、原油中の沸点の低いナフサを留分を効率良く改質してオクタン価の高いガソリンや芳香族装置の原料を生産するために使われています。
原油中のナフサ留分はそのままではオクタン価が低く、自動車を走らせるガソリンとしては、不適合なため、ナフサ留分中のオクタン価の低いパラフィン分およびナフテン分をオクタン価の高い芳香族分に改質することにより、車の燃料に適した性状の改質ガソリンにします。 改質ガソリン中には芳香族分が多く含まれる為、プラスチック、化学繊維、ペット樹脂などの石油化学製品製造の原料にも使われます。 改質触媒により、原油のなかのナフサ留分を生活に必要なガソリンやプラスチック製一般消費材や衣類、ペットボトル、化学洗剤、その他多くの消費材の粗原料にすることが出来るようになります。
ガソリンをつくる触媒(FCC触媒)は石油コンビナートの中心となる石油精製会社の製油所で使われます。製油所は原油から石油化学原料、ガソリンなどの燃料、その他の化学原料を生産します。FCC触媒は原油の沸点の高い成分を効率よく分解して沸点の低いガソリンなどが多く生産できるように使われています。
輸入される原油は産出する場所によって含まれる油の成分が違います。製油所ではどこの原油がきても生産する製品の量は同じようにする必要があります。いつもと同じにしないと生産した製品が足りなかったり、余ってしまったりしてしまいます。必要な製品は比較的沸点の低い石油化学原料からガソリン、灯油、軽油などです。しかし、一般的な原油中にはこれらより沸点の高い成分が40%以上あります。これらの沸点の高い成分を低い製品にするため、FCC触媒を使って分解します。FCC触媒は本来、ガソリンを増産するための触媒ですが、分解性能を調整することで、石油化学原料、ガソリン、灯油、軽油などの生産量を調整して必要な製品の確保を可能にしています。
重油をきれいにする触媒(重油脱硫触媒)は、石油コンビナートの中心となる石油精製会社の製油所で使われます。製油所は原油から石油化学原料、ガソリン・灯油・軽油・重油などの燃料、その他の化学原料を生産します。重油脱硫触媒は、主に原油の重い(沸点が高い成分:重油)成分から不純物(硫黄)を取り除くために使われます。
重油は主に船舶や発電所で燃料として使用されますが、原油から分留された重油の中には、硫黄、窒素や重金属(バナジウム、ニッケルなど)取り除かないと大気汚染など環境問題を引き起こす不純物が含まれています。これらの不純物は触媒を使って除去されます。重油脱硫触媒は、主にニッケルとモリブデンをアルミナ担体上に高分散させ担持することにより作られます。触媒上で水素と重質油を高温高圧下で反応させることにより、硫黄は硫化水素、窒素はアンモニアとして取り除かれます。 また重金属は触媒上に堆積させることにより重質油から分離することができます。