水素や硫酸、硝酸をつくる触媒 Catalyst

4-1 水素、アンモニア、メタノールを作る触媒(水蒸気改質・部分酸化改質・アンモニア合成触媒)

ういうところで使用されています

水素、アンモニア、メタノールは化学工業にとって非常に重要な基幹製品で、世界中で大量に製造されています。水素は多くの化合物の水素化反応に使用され、最近では燃料電池で使用される燃料としても注目されています。アンモニアは硝酸や化学肥料、アクリル繊維などの原料として、またメタノールは溶剤や他の基礎的化合物の原料として古くから触媒反応によって工業的に製造されています。

触媒が必要な理由

水素、アンモニア、メタノールは多くの場合、天然ガスから製造されています。天然ガス中のメタンなど炭化水素は炭素と水素からできているので,これらをニッケル系の触媒上で水蒸気と反応させると水素と一酸化炭素が生成します。さらに一酸化炭素は水蒸気と反応し、水素と二酸化炭素に転化されます。二酸化炭素を除くと高い純度の水素が得られます。空気中の窒素と水素を1:3の比で高温、高圧下で鉄系の触媒上で反応させるとアンモニアを合成することができます。この反応は空中窒素の固定とも言われ、鉄系の触媒が開発されて初めて人工的に製造が可能になりました。同様にメタノールは水素と一酸化炭素を銅系の触媒上で反応させて合成されます。原料の天然ガス中に微量存在する硫黄化合物は上記の触媒の毒となるので、これも触媒反応で除去されています。

触媒の画像
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技術コラム

4-2 硫酸をつくる触媒(硫酸触媒)

こういうところで使用されています

硫酸は無機化学薬品の中で最も生産量の多い薬品で、繊維・肥料・他の薬品など幅広い分野で利用されます。硫酸製造触媒は、硫黄から硫酸を製造する工場で使われます。我が国における原料硫黄の約70%は、非鉄金属精錬時の排ガスに含まれる硫黄であり、資源を有効に活用しています。

触媒が必要な理由

かつては触媒を使用しない方法(硝酸によって硫黄を酸化して硫酸とする方法)が使われていましたが、得られる硫酸の濃度が薄く、純度も低いという問題点がありました。触媒を使って硫黄を空気酸化する方式(接触法)が開発され、より高濃度・高純度の硫酸が得られるようになり、現在我が国では、全てこの方式になっています。 触媒の画像は、左から円柱型、リング型、スターリング型

触媒の画像
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4-3 硝酸をつくる触媒(硝酸触媒)

こういうところで使用されています

肥料、爆薬、その他様々に使用される硝酸の製造プラントで「白金触媒網」と呼ばれる触媒は使用されています。

触媒が必要な理由

硝酸はアンモニアと酸素を混合したガスを反応させて製造されます。この反応は高温(主に750-900℃)が必要であり、またガスは高速で触媒に接触させねばなりません。そのための触媒として高温に耐えられる白金で作られた極細線を網状に編んだものを使用します。この網を何枚か重ねてプラントに設置します。高温で熱せられたこの網の層をアンモニアと空気の混合ガスが高速で流れることで効率的に硝酸を製造することが出来ます。

触媒の画像
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