私たちの身の回りで役に立っているポリエチレン樹脂やポリエステル繊維などの化学製品は石油などを分解してできるエチレン、プロピレンなどを原料として作られています。これらの原料と酸素やアンモニアなどを反応させて少し複雑な化合物を合成し、また次の製品の原料にします。このように基礎的な化学物質を目的に合わせて転換していく化学反応には多くの場合に触媒が使われています。
石油などを水蒸気とともに熱分解するとエチレン、プロピレンなどが生成します。しかし、いろいろな化合物が混じってできるので、不要物は触媒を使って目的物に変化させます。例えば、アセチレンは特別な触媒によって水素化されてエチレンとなり、エチレンの収率を向上させることができます(選択的水素化触媒)。エチレンは触媒によって酸素と反応し酸化エチレンに転換されます。この反応では適当な触媒を使用することにより、エチレンが完全酸化して二酸化炭素になることを抑制し、目的物を高収率で得ることができます(部分酸化触媒)。また、エチルベンゼンからポリスチレンの原料となるスチレンを合成する反応は水素を引き抜く反応で、脱水素触媒によって効率よく行うことができます。
オレフィン重合触媒は、石油化学プラントで製造されたオレフィンを付加重合してポリオレフィンを製造するプロセスで使用されます。 代表的なオレフィン種はエチレンやプロピレンで、本触媒と接触させることでポリエチレンやポリプロピレンが製造されます。 ポリエチレンやポリプロピレンは代表的なプラスチックであり、フィルム、ボトル、自動車用部材等の様々な用途に使用されています。
ポリオレフィンは、我々の日常生活に利用する様々な素材として活用されています。従って、それを製造する上で、本触媒は必需品となっています。オレフィンは容易には反応しませんが、オレフィンを触媒に接触させることで重合反応が起こり、ポリオレフィンを生成することができます。 ちなみに、触媒表面上でポリオレフィンが生成することから、重合反応後に触媒はポリオレフィン中に分散(残存)します。そのため、ポリオレフィン中の触媒の残存量を少なくするためにも効率(活性)の高い触媒が求められています。